ようやく会心の笑顔を見ることができた。ヤクルト・小川泰弘投手。今季3試合目の先発となった15日のDeNA戦(横浜)でシーズン初勝利を挙げた。「先制してくれたので大胆にいくところはいって。ストライクゾーンの中で勝負ができた」と納得の笑みだった。


 昨年は8勝9敗と初めて黒星が先行した。昨オフから「復活」をテーマに掲げ、自主トレ、キャンプと過ごした。左足を大きく上げる独特のフォームが特徴。上下のバランスを意識し、昨季は控えめだったが「自分らしくというか、もう一度やってみようと」と再び高く上げる形に落ち着いた。

 一方でなかなか決まらなかったのがマウンドでの立ち位置だ。キャンプ序盤からプレートの一塁寄りに立った。武器であるシュートを生かすためだった。ブルペンでは何度も足元に目をやる姿が印象的だった。一塁側から投げれば、角度がつき、左打者の外には逃げるように使える。オープン戦でも試したが、打たれる場面も多かった。

 試行錯誤を繰り返し、三塁寄りに戻したのは3月半ばのことだった。「やっぱり基本は外の真っすぐ。そこを生かすためですね」。直球が生きてこそのシュートという基本に立ち返った。三塁側から球威のある直球を投げ込むことで、持ち味も生きてきた。「困ったときに、これまでの経験を生かして何かできたらいい。今年はまずは、これでいこうと思います」。投球フォームと同じく、こちらも元サヤに収まった。

 開幕からの2試合は黒星がついたが、5回2失点、7回2失点と試合はつくれていた。三度目の正直で手にした白星が、悩み抜いて出した答えは間違っていないことを証明してくれたはずだ。昨年は投手陣が結果を残せず、チームは5位に沈んだ。今季はここまで打線が低調で苦しんでいる。野手陣の状態が上がるのを待つ、いまこそが、投手陣の踏ん張りどころだ。

 4年連続の開幕投手は逃したが「悔しい気持ちはありますけど、チームのためにやるだけです」と切り替えている。悩み抜いた末、投球フォームも立ち位置も原点回帰した。その過程で、引き出しは増えた。16勝を挙げた1年目のように、マウンド上で躍動するのか。小川の17年シーズンは安堵の表情とともに、幕を開けた。(記者コラム・川手 達矢)
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