試合後。西武・菊池は「筋育のススメ」と太い題字がある健康雑誌「Tarzan」を手に、通路に現れた。6回3安打無失点で4勝目。開幕からのチームのオリックス戦連敗を5で止め、「監督からも“5連敗しているから頼むぜ”と言われていた。苦手意識を取るためにも勝てて良かった」と安どの表情だった。


 修正力がエースの凄みを象徴していた。立ち上がりは頭が突っ込み「最近の中で一番良くなかった」。直球が暴れてスライダーも抜けていたが、3回から右足を上げた際に一本足できっちり立つようにした。4回は中島を内角低めの154キロ直球で3球三振に仕留めた。「あそこは狙った。(西武で)一緒にやっていたし、尊敬する凄い打者」。3回に武田の打球を左手首付近に受けた影響で6回で降板したが、「大事を取ってだけど大丈夫です」と強調した。

 現状に満足せず、さらなる高みを目指す。今年から登板する際、現役歯科医師・佐々木隆之氏が監修したオーダーメードのマウスガード「BOOSTECTOR」(株式会社 DBAP)を着用。Jリーグ横浜のMF斎藤学も愛用しているがプロ野球で投手が着けるのは極めて珍しい。外傷予防とともにかみ合わせを調整したことで力みが抜け、投球の際に頭や頸椎(けいつい)に掛かる負担が軽減されて重心移動も安定。「マウスガードを入れて力を入れすぎないようになりましたね」と効果を口にする。

 開幕から7試合登板で4勝1敗、リーグトップの防御率1・08。50イニングで自責点6と驚異的な数字が並ぶ。次回登板で4回1/3以上を零封すれば、防御率は0点台に突入する。だが、個人記録よりフォア・ザ・チーム。「早めに(借金1から)五分に戻すのが大事。(13日に今季初先発する)佐野にも重圧になるので今日の1勝は大きかったと思う」。カード初戦でオリックス打線を完璧に抑え、後輩へ託す。これぞエースだ。(平尾 類)
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