三菱日立パワーシステムズ(横浜市)が1回戦で日本生命(大阪市)に逆転勝ち。8回に代打に送られた元巨人の加治前竜一外野手(32)が右前に勝ち越し打を放った。社会人3年目のベテランが勝負強さを発揮し、昨年の開幕戦で下した日本生命に再び土をつけた。JR西日本(広島市)とNTT東日本(東京都)も2回戦に進んだ。


 8回に追いつき、なおも2死一、二塁。「代打・加治前」の場内アナウンスに東京ドームが沸いた。低めの直球に食らいつき、逆方向の右前へ。かつての本拠地で決勝打だ。

 「がむしゃらに打った。たまたまですが、気持ちいいですね」。巨人で新人だった08年6月6日のロッテ戦(東京ドーム)で史上初のプロ初打席サヨナラ本塁打。12年にも8打点中4打点で勝利打点を記録した男の勝負強さは健在だった。

 波瀾(はらん)万丈の野球人生を歩む。プロ7年目の14年10月に巨人を戦力外となり、同年の合同トライアウトを受験した。だが声は掛からず、都市対抗で2度準優勝した社会人の強豪・三菱重工長崎に進んだ。入社2年目の昨年は4番として都市対抗に出場したが、11月に野球部の休部と三菱日立パワーシステムズ横浜との統合を聞かされた。双子の男児が誕生したばかり。不安がよぎったが、「一回死んだ身。助けてくれた会社に恩返しがしたい」と迷いを振り切った。

 新チームが始動した今年1月から横浜市に拠点を移し、32歳は部員45人の精神的支柱となっている。「ベンチ外の選手もたくさんいる。競争力があってギラギラした感じ。それがいい」と目を輝かせる元巨人戦士。慣れ親しんだ東京ドームで輝きを放った。 (馬渡 雄介)

 ◆加治前 竜一(かじまえ・りゅういち)1985年(昭60)4月6日、奈良県生まれの32歳。智弁学園では1、2年夏に甲子園に出場し、ともに3回戦敗退。高校通算43本塁打。東海大では3年秋に首位打者と本塁打王に輝き、4年春はMVPを獲得。07年大学・社会人ドラフト4巡目で巨人に入団。通算成績は109試合に出場し、打率.210、2本塁打、10打点。1メートル73、85キロ。右投げ右打ち。
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