あの時の厳しい言葉を胸にやってきた。阪神・梅野なりに成長を先輩に示した夜だ。打撃では好相性の広島戦で試合を決める快音を響かせたのは4回だった。

 「(シュートは)頭にあって振り遅れる感じがしていたので、前で捉えるようにポイントだけを考えた」


 糸原の適時二塁打で追いついた直後の2死二塁で野村の2球目に投じたシュートに食らいついた。ライナーで左翼へ落ちる勝ち越しの適時打。2回の第1打席は1死一、二塁で同じシュートを引っかけて三ゴロ併殺に倒れていただけに「やり返したい、その一心だった」とうなずいた。

 「下位でしっかり、線としてチャンスをものに出来たのは良かった。下位でも取れるんだというところを見せられた」

 プレーボール前、腰を下ろして視線を送った一塁には背番号5がいた。左足アキレス腱断裂から復活を遂げた西岡の初陣だった。マスクを被った昨年7月13日のヤクルト戦(神宮)。序盤に下位打者に被弾し、ベンチで西岡から叱責(しっせき)を受けた。

 「配球の部分ですね。守ってる西岡さんからも自分の甘い部分が感じられたんだと思う。そうやって剛さんに直接、言っていただいて自分も結果で応えないといけないと思ったので。いつも声をかけてくださるので成長したところを見せたい思いはあった」

 あれから1年――。自らのバットで叩き出した最少リードを9回まで必死に守り抜いた。「このままでは今まで(の広島戦)は終わらなかったので。悔しい部分もあった。リードでも何とか粘ることができた」。自信なさげにサインを出し、痛打を浴びた昨年の姿はもうない。勝利後にかわした西岡とのハイタッチには大きな意味があったはずだ。(遠藤 礼)
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