千両役者が記念すべき一発で試合を決めた。阪神の福留孝介外野手(40)が12日のDeNA戦の1―1の10回1死、左越え決勝12号ソロ。これが史上61人目の通算250号となった。

 今季本塁打した試合は12戦12勝と「不敗神話」は継続。昨年から14連勝となり、チームを敵地での連勝に導いた。


 出迎えたロジャースとハイタッチし、花束を受け取っても笑顔は見せない。その裏、ドリスが試合を締めくくった瞬間、初めて表情を緩めた。1―1の延長10回、勝負を決めたのはやはりこの男。本塁打すれば11戦全勝だった福留の12号は、左翼ポール際に突き刺さる通算250本目のメモリアル弾だった。

 「記念の1本というのが1番良いところで出てくれた。それが勝ちにつながったというのが、1番良かったんじゃないですか」

 史上61人目の快挙。それを値千金の決勝弾でマークして見せるのが、天性のスター選手の証しだ。1死走者なしから、砂田の外角直球にしっかりと踏み込んで逆方向へ。「外が多くなるだろうなと思いながら、しっかり入って(踏み込んで)打てた」。百戦錬磨の読みが冴え渡った。

 前日まで2戦連続でスタメンを外れた。40歳のベテランの力をフルに発揮できるようにという金本監督の配慮。実際、休養日明けは体のキレもスイングの鋭さもひと味違う。

 精神的なリフレッシュは、少ない休日に子どもと過ごすこと。250本のアーチをかけてきた“アーチスト”は最近、アーティストの才能も開花中?だ。子どもたちと家の近くの川などに出かけ、美しい景色にパシャリとシャッターを切るのが楽しみとなっている。スマホの中に多くの“作品”が保存され「結構、良い写真やと思うんやけどな」とまんざらでもない様子。抜群の集中力で、甘いボールもシャッターチャンスも逃さない。

 3回2死一塁では、田中浩の右中間への飛球をダイビングキャッチ。超美技で名手の健在ぶりを見せつけた。「京セラドームで能見の時に(エラーを)やっているんで、何とかしっかり守ってやりたいという気持ちはあった」。0―1の8回無死二塁の第4打席では投手強襲の同点内野安打を放ち、攻守で獅子奮迅の働きだった。

 個人記録には頓着しない性格。「あまりピンと来ません。何本打っているか数えているわけではないのでね」と笑い、印象に残っている本塁打を問われても「1本も覚えてませーん」ととぼけた。自身の節目よりチームの勝利。「不敗神話」が12に伸びたことが何よりうれしかった。(山添 晴治)
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