人気ロボットアニメの劇場版「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1」が16日から公開される。2005年から放送された最初のテレビシリーズを基に再構成した、劇場版3部作の第1弾。主人公の少年レントンを演じたのは05年にも担当した三瓶由布子さん。「成長していく姿を一から作り直した」と手応えを口にしたものの、そこにはやりがい、そして戸惑い…さまざまな思いが交錯していた。


 声優にとって、慣れ親しんだ役は必ずしもやりやすいものではないのかもしれない。むしろ最も難しい役となることもあるようだ。

 三瓶は、今回の“現場第一声”となったモノローグの際に「“ちょっと暗い”と言われました」と周囲にダメ出しされたことを明かした。

 レントンが劇中で翻弄(ほんろう)されたことから、役作りに際し「イジケやスネた気持ちを込めた回想」とイメージを膨らませたというが、その後の製作サイドとの話し合いで「自分が(その後のレントンについて)分かっているものを、声に乗せすぎてしまった」ことに気付いたという。

 エウレカセブンは2000年代を代表するロボットアニメ。14歳の少年レントンが、少女エウレカらさまざまな人と出会って成長していく。全50話、1年を掛けて変わっていく姿が描かれた。

 当時は製作サイドの計らいで、直近のアフレコ分の台本しか渡されなかったという。「1話ずつ何が起こるか全く分からない状態で、台本が来て初めてストーリーを知る状態だった」。レントンと“同時進行”で演じていったというわけだ。

 1度は演じ切り、12年後の今あらためて命を吹き込んだ14歳のレントン。「当時の私は19歳。素の自分で、体当たりで演じていました。30歳を越えた今、成長していく少年を演じるのは簡単なことではなかった」という。成長を見届けていた上に三瓶自身の内面的成長もあり、「そこをフラットな状態に戻すのは大変。自分への挑戦でした」と苦笑い。声優が12年前に担当した役を再び演じるということは、ファンが想像する以上に大変なことのようだ。

 一方でそれは、ファンに12年間愛される作品に巡り合えた声優の特権でもある。「当時から“大好き”と言って下さる方も多い作品。その人たちを裏切りたくない。そこはプレッシャーでもあるんですけどね」とやりがいを強調した。

 レントンは三瓶の一部。「1年演じ、その後にゲームのお仕事でも演じています。レントンは私の中にいます。その中で、どの部分をどう表現するかが問題です」と話した。今回の劇場版は、三瓶が声優として、さらに飛躍するための大きなステップなのかもしれない。「映画という尺の中で、一から成長していく少年をあらためて演じられていると(ファンに)感じてもらえたら、うれしい」と、自身も公開が待ち遠しい様子だった。(岩田 浩史)

 =インタビュー後編は16日アップです=

 ◇交響詩篇エウレカセブン 2005年からTBS系で放送。舞台は、サンゴに似た「スカブコーラル」という未知の生命体に地表を覆われた惑星。主人公レントンは、大気中を漂う目に見えない粒子「トラパー」の波に乗る“空中サーフィン”のようなスポーツ「リフ」に熱中する14歳の少年。人の形をした巨大兵器「ニルヴァーシュ」に乗る少女エウレカと出会い、世界を統治する「塔州連邦」に反抗する組織「ゲッコーステイト」に加入し、成長していく。09年にパラレルワールドを描いた劇場版「交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい」が公開され、12年には続編「エウレカセブンAO」(TBS系)が放送された。

 ◇三瓶由布子(さんぺい・ゆうこ)2月28日、東京都生まれ。児童劇団を経て2000年「だぁ!だぁ!だぁ!」(NHK教育)の西園寺彷徨役で声優デビュー。05年「交響詩篇エウレカセブン」(TBS系)のレントンのほか、17年から放送中の「BORUTO―ボルト―NARUTO NEXT GENERATIONS」(テレビ東京系)のうずまきボルトら、元気な少年役を中心に活躍。07年「Yes!プリキュア5」(テレビ朝日系)の夢原のぞみら女性キャラも多く演じる。趣味は写真撮影。1メートル56、血液型B。
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