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点ではなく線での活躍を…羽多野渉が抱く「大きすぎる野望」とは


 11月4日公開の劇場版ミュージカルアニメ「Dance with Devils-Fortuna-」でヒロインの兄役を務めるほか、主題歌も担当する羽多野渉さん。インタビュー後編は、声優を目指した“原点”、そして、音楽活動から声優への好影響について――。


 “ミュージカルアニメ”と銘打ち、キャラクターたちが作中で歌を歌い思いを伝える斬新な演出が話題となったテレビアニメの放送から2年。今秋、舞台を劇場に移して帰ってくる。自身が演じるヒロインの兄、立華リンドは「大切に思う役の一つ」だといい、今回の劇場版の収録についても「2年のブランクは全く感じませんでした。毎週集まって録っていたんじゃないかっていうくらいにスムーズで」と述懐。ただ、妹への強い愛を表現する場面が多いことから「一人だけ大声を出して、気付いたら一人だけどんどん疲れていっていましたね」とジョーク交じりに振り返る。

 「声優になる」。幼いころからの夢をブレることなく追い続け、そしてかなえた人である。目指したきっかけは母親の一言だった。映画「天空の城ラピュタ」のセリフをすべて覚えてマネする姿を見て「どんな声優さんでも、いろいろな経験や知識を積んでいるんだよ」。この言葉に背中を押され、地元・長野の高校を卒業後、迷わず上京して専門学校へ進んだ。「経験もないのに、子供のときから絶対になれると思っていたんです。人間ってなりたいものがあると努力を惜しまないものなんですよね」。

 もちろん、挫折もあったというがよそ見は一切なし。「学生の時、両親からは仕送りをしてもらっていたのですが“夢に向かって勉強することを支えるから、その代わり結果を出しなさい”と言ってもらって。家族には感謝しかありません」。両親の愛情、そして自身の努力を礎に人気声優への階段を昇り続けた。

 「自分以外の人生を追体験できる」。これこそ声優という職業の魅力だと語る。「どの声優さんも、キャラクターの心理に迫る努力をしている。キャラクターが生まれ、死んでいくまでの期間、どういう人生を過ごすのか。想像力を働かせ、表現しようとすればするほど、日常から魂が飛び出して、別の人生を体験しているような感じになる」。結婚、子供の誕生…。幸せを感じる瞬間に何度でも立ち会うこともできるといい「僕は作品の中で女の子に振られてしまうことが多いですけど(笑い)、声優を辞められないんだよなって思うのは、こういうことなんだと思います」と実感を込めて話す。

 あらゆる役に触れ、そのキャラクターを突き詰めれば突き詰めるほど、足りない自分が見えてくるとも。その中には音楽もあり、2011年から開始した歌手活動が、足りなかったピースの一つを埋めることにもなった。今回のミュージカルアニメにおいても「歌う役柄なのに、歌を突き詰めないままでは、そのキャラクターの人生を追えずに立ち止まってしまう。(歌手として)音楽をやらせてもらったことで、このキャラクターとしての表現ができるようになった」。歌手活動が音楽表現を培い、リンドとして自身の思いを具現化できたことに感謝する。

 まだまだ続く声優人生。今後やりたいこと、目指す道については「一生声優でいること」と即答した。「“この役をやる”という“点”ではなく、その点の先をどうするのかということ。点を次へ次へとつなげていくこと。“一生声優”。これが僕の大きすぎる野望なんです」。点をつなぐ線…これからも果てしなく伸びていきそうだ。(中田 智子)

 ◇羽多野 渉(はたの・わたる)1982年3月13日生まれ。長野県出身。2001年「よばれてとびでて!アクビちゃん」でテレビアニメデビュー。08年「第2回声優アワード」で新人男優賞を受賞した。2011年12月に「はじまりの日に」で音楽活動を開始。15年からはライブ活動を毎年続けており、今年2?3月にはアーティストデビュー5周年を記念したツアーを敢行。全国4カ所、計8公演を行い成功を収めた。

 ◇Dance with Devils 2015年10?12月、TOKYO MXなどで放送されたオリジナルミュージカルアニメ。略称「ダンデビ」。どこか懐かしさの漂う四皇町を舞台にして繰り広げられる、四皇学園に通うヒロイン・立華リツカのアクマを巡る物語。キャラクターたちが作中で思いを伝えるため歌を歌うという、斬新なミュージカル描写を取り入れた演出が話題となった。2015年に漫画化、16年にゲーム化と舞台化が行われた。2017年11月4日から、劇場版「Dance with Devils―Fortuna―」として、シネ・リーブル池袋他で公開される。

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