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エウレカ 三瓶由布子 溶け合う感情「私なのかレントンなのか…」

2017年09月16日 10:00

芸能

エウレカ 三瓶由布子 溶け合う感情「私なのかレントンなのか…」
劇場版アニメ「エウレカセブン ハイエボリューション1」で主人公レントンの声を担当する三瓶由布子 Photo By スポニチ
 人気ロボットアニメの劇場版「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1」が16日、公開された。14歳の主人公レントンを担当する三瓶由布子さんがインタビュー後編で語ったのは、役との距離感。キーワードは“2人の感情が溶け合う”感覚――。

 「涙が止まらなくなりました。感動しているのがレントンなのか自分なのか、よく分からなくなりました」。三瓶が劇中のあるシーンを振り返った。それは2005年から放送のテレビ版で「サマー・オブ・ラブ」と呼ばれていた10年前の“大災害”。レントンの父アドロックが命を懸けて世界を救った様子も含め、今作で初めてその全容が描かれた。

 レントンはまだ幼かったため、記憶の中にはサマー・オブ・ラブも父もほとんどないという設定。ただ「世界を救った英雄」と聞かされ続けてきた父への思いは複雑だ。英雄の息子であることの居心地の悪さも描かれた。

 05年テレビ版でレントンを演じていた三瓶自身もサマー・オブ・ラブと父の死の全容については劇場版で初めて知った。「(アドロックは)あんな風に生きて、こんなに一生懸命になって戦い、汗水垂らして頑張ったんですね」。それはレントンとして、アドロックに対して12年間抱えてきた寂しさ、疎ましさなどのネガティブな感情が氷解した瞬間だったのかもしれない。

 アドロックの声を担当したのは大先輩、古谷徹。その熱演には圧倒された。「機動戦士ガンダム」のアムロ・レイで知られる、レジェンド声優だ。「自分の命を懸け、自分を犠牲にして何かをするという(アドロックの)声を担当するのは、相当な覚悟や度胸が必要。演技から滲み出る古谷さんの熱量…凄かったです」。

 それだけに、サマー・オブ・ラブのシーンを試写で初めて目にした際には、レントンと三瓶自身の感情が溶け合い、涙が止まらなくなったのだという。

 アニメ声優は、本来の自分を大きく離れた役柄も演じられる仕事。30歳を越え大人の女性となった三瓶は、14歳の少年レントンを演じることを「ほかの仕事では、なかなかできないこと」と楽しんでいる。年齢と性別を越え、女性声優だけができる少年の演技があるようだ。

 自分の思いにまっすぐに行動するレントンの姿は、見ているこちらが恥ずかしくなる時がある。劇中で“善意の行動”が自己満足だと気づき、落ち込む姿などは痛々しい。記者がそんな印象を伝えると、三瓶は「そうですよね、恥ずかしいですよね。痛いですよね。正解だと思います」と苦笑いした。

 ただ、マイクの前ではレントンになり切る。「演じている時は、ちょっと悦に入っちゃうというか、“こんなオレ、カッコいいだろ?”って思っていますよ」と明かした。

 普段は大人の女性として、レントンを俯瞰(ふかん)して見ている。「成長は描かれているんですけどね。難しいことがチクチク続きます。小さな失敗を繰り返した先に大きな失敗?(笑)。一筋縄じゃ行かない、少年のリアルが描かれています。人間やっぱり、ちょっとやそっとじゃ変わらないんですよ」と分析する。

 そんな温かい目線は、テレビ版放送後の12年で三瓶が得たものだ。「当時は素の自分で演じていた部分があった」というが、今は「どうしたって、自分の方が年を取って行く。だからレントンには“頑張れ!”って気持ちが強くなってきている」と感じている。

 2017年版のレントンの声は、最初のテレビ版とは違うかもしれない。だが痛々しい部分を演じつつもファンが共感できるのは、そんな大人の女性の優しさが声に乗っているからだろう。(岩田 浩史)

 ◇交響詩篇エウレカセブン 2005年からTBS系で放送。舞台は、サンゴに似た「スカブコーラル」という未知の生命体に地表を覆われた惑星。主人公レントンは、大気中を漂う目に見えない粒子「トラパー」の波に乗る“空中サーフィン”のようなスポーツ「リフ」に熱中する14歳の少年。人の形をした巨大兵器「ニルヴァーシュ」に乗る少女エウレカと出会い、世界を統治する「塔州連邦」に反抗する組織「ゲッコーステイト」に加入し、成長していく。09年にパラレルワールドを描いた劇場版「交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい」が公開され、12年には続編「エウレカセブンAO」(TBS系)が放送された。

 ◇三瓶由布子(さんぺい・ゆうこ)2月28日、東京都生まれ。児童劇団を経て2000年「だぁ!だぁ!だぁ!」(NHK教育)の西園寺彷徨役で声優デビュー。05年「交響詩篇エウレカセブン」(TBS系)のレントンのほか、17年から放送中の「BORUTO―ボルト―NARUTO NEXT GENERATIONS」(テレビ東京系)のうずまきボルトら、元気な少年役を中心に活躍。07年「Yes!プリキュア5」(テレビ朝日系)の夢原のぞみら女性キャラも演じている。趣味は写真撮影。1メートル56、血液型B。
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