北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏(45)がマレーシアで殺害された事件で、韓国の情報機関・国家情報院が国会に、正恩氏が正男氏について「やってしまえ。嫌いだ。除去しろ」と殺害を指示したと報告していたことが16日、分かった。


 共同電によると、正男氏は友人に「(正恩氏への)3代世襲を行うべきではない」と話していたことも判明。正恩氏を頂点とする統治体制の否定と受け取れる言動が怒りを買った可能性があるが、北朝鮮の専門家は、正恩氏の正男氏に対するコンプレックスも背景にあるとみている。

 北朝鮮専門のインターネットニュースサイト「デイリーNKジャパン」の高英起編集長は「今回の事件のポイントは感情的な部分だと考えている。元々正恩氏は、正男氏に憎しみを抱いていた」と説明。正恩氏は、尊敬する祖父の故金日成主席の容姿や行動などをまねてカリスマ性のある指導者になろうとしていたといい「その祖父が一番可愛がっていたのが、初孫だった正男氏。反対に、正恩氏は可愛がられず、憎しみを膨らませていた」と分析した。その上で「いつの時代でも、家族の骨肉の争いはあったが、21世紀にこういうことをやるのは異常性の表れだ」と指摘した。

 一方、朝鮮日報によると、韓国の安全保障部門の関係者は「正男氏は金日成、金正日と続く金王朝の嫡子。金正日の庶子で正統性を巡る強いコンプレックスを持つ金正恩氏としては、目の上のたんこぶのような存在だった」と話している。

 北朝鮮では「建国の父」として神格化される故金日成主席の一族を「白頭の血統」と呼び、最高権力が世襲されてきた。韓国メディアによると、2011〜12年ごろに、正男氏が北朝鮮に帰国した際、「あれ(正恩氏)が何の白頭の血統か。富士山の血統だろう」と発言したという。正恩氏の母親の高英姫氏は、日本の大阪生まれ。正男氏の発言に激怒した正恩氏が、暗殺指令を出したとも考えられる。
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